
月とコーヒー
吉田篤弘
徳間書店 / 2019-02
累計読者数18
平均ハイライト数 2.7件/人
推定読了時間 約6時間43分
star総合評価 50/100
boltライト読書型
check_circle推定完走率 59%
この本について
仕事に追われていると、必要なものだけを優先して、気づけば「自分の世界の余白」がなくなっているときがあります。読んでも書いても、何かがしぼんでいく感じがして、でも原因はよくわからない。僕もそういう時期が長く続いたのですが、『月とコーヒー』は、その停滞を無理に押し流すのではなく、静かにほどいてくれるような本でした。 この物語の中には、派手な事件はほとんど起きません。けれど、料理人がヘルパーでもある日常のにじみ、魔法を“使う”より“修行する時間”を尊ぶ感覚、物語を書きたいのに一歩が出ないもどかしさ、そういう小さな揺らぎが丁寧に描かれています。読んでいるうちに、自分の生活にも同じような「とるにたらないもの」がいくつもあることに気づき、それを雑に扱っていたなと少し反省しました。必要性はないけれど、日々を続けていくためには確かに欠かせないもの。そういう視点がそっと戻ってきます。 特に、ページを開けば別の世界が現れ、閉じれば現実の音が戻ってくるというくだりに、僕はかなり救われました。閉め出していたのは外ではなく自分の方だったのかもしれない、と素直に思えたからです。そういう意味で、この本は「前に進む力」というより、「立ち止まってもいい理由」を与えてくれる一冊です。 日常のなかで自分の感覚が平らになってきたなと感じている人に、そっと刺さると思います。
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出版社による紹介
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