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零式戦闘機(新潮文庫)

零式戦闘機(新潮文庫)

吉村昭

文藝春秋 / 1980-04-25

累計読者数3
平均ハイライト数 2件/人
推定読了時間 約5時間37分
star総合評価 40/100
boltライト読書型
check_circle推定完走率 63%

この本について

仕事でも日常でも、理想と現実のあいだで折り合いがつかず、どこを削り、どこを守ればいいのか分からなくなる瞬間があります。やるべきことは山ほどあるのに、全部を満たそうとすると破綻する。その葛藤に、どこか覚えがある人は多いと思います。 『零式戦闘機』を読むと、その迷いが極限状態ではどんな形になるのかが、静かに突きつけられます。設計者たちが機体の性能項目を前に「調和させる余地がない」と苦悩する姿は、結局は誰かの安全を削ることでしか前に進めない現実を描いていて、理想を追うことの影の部分が生々しい。そして、追い詰められた組織が「攻撃こそ最大の防御」といった一方向の論理に流され、人の命まで“調整弁”として扱ってしまう過程は、他人事ではない重さがあります。目的の数字だけが独り歩きすると、そこにいる人間の尊さがどれほど簡単に置き去りにされるのかが分かります。 特攻へ追い込まれていく若い操縦士たちの描写も、悲壮さより前に「こんな空気ができてしまうと戻れなくなる」という怖さを感じます。だからこそ、自分が今いる現場で、何を守るために何を手放しているのかを、少し立ち止まって見直すきっかけになります。 理想と現実の折り合いに悩む人に刺さる作品です。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

設計主務、堀越二郎34歳。開発スタッフの平均年齢20代。国家の存亡を賭けた新鋭機は、若者たちの手によってつくられた——。 日中戦争後期から太平洋戦争を通じ、5年もの間日本海軍の主力戦闘機として戦い抜いた零式艦上戦闘機、通称零戦。今また映画『風立ちぬ』や百田尚樹さんの小説『永遠の0』などで注目を集めていますが、この高性能戦闘機が世に出るまでには、若い技術者たちの長く苦しい闘いがありました。彼らは、技術後進国という厳しい条件下で、いかにして外国機をしのぐ新鋭機をつくり出したのか? 『風立ちぬ』主人公のモデル、堀越二郎氏へののべ40時間にわたるインタビューをはじめ、当事者たちへの徹底取材に基づいて書き上げられ、1977年に刊行された長篇ノンフィクション。「零戦」を知るのにこれ以上の本はなく、当時を知る人のほぼすべてが鬼籍に入ってしまった今、これからも書かれることはないでしょう。

目次

開戦前夜に : 零式戦闘機 大本営が震えた日ほか 零式戦闘機 「零式戦闘機」取材ノート 大本営が震えた日 戦記と手紙
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