
色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 (文春文庫)
村上春樹
河出書房新社 / 201306
累計読者数28
平均ハイライト数 10.4件/人
star総合評価 54/100
start序盤集中型
check_circle推定完走率 28%
この本について
最近、気づいたら同じところで立ち止まっていたり、人との距離の取り方がわからなくなったりしませんか。前に進みたい気持ちはあるのに、思考だけがぐるぐる回って、気づけば自分で心に鍵をかけてしまっているような感覚。正直、僕自身そんな時期が長く続きました。 『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』は、そういう停滞の「質」を静かに照らす小説です。嫉妬や喪失や怯えのような、格好つかない感情を無理に乗り越えようとは言わず、まずはそれがどうやって心の中に居座るのかを丁寧に描いてくれる。読んでいるうちに、つくるが自分に近づいてくる瞬間が何度もありました。痛みが省察を生む、という一文は、しばらく動けなかった自分の時間を少しだけ肯定してくれました。 もう一つ、この本は「他人との距離」に悩んでいる人に優しい。誰かを失うことへの怖さから、無意識に距離を置いてしまう感じ。つくるが抱えるその恐れは、たぶん多くの人がどこかで持っているもので、読んでいると自分の中の固い部分が少しやわらぐようでした。関係は調和だけでできているわけじゃなく、傷と傷でつながるものだという視点も、救いに近いものがあります。 自分の感情の扱い方に迷っている人、または「向かう場所がよくわからない」と感じる時期にいる人に静かに響く一冊です。無理に答えをくれるわけではないけれど、歩き出す前の体勢を整えてくれるような読後感でした。
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多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの29%が集中しています。
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