
東芝解体 電機メーカーが消える日 (講談社現代新書)
大西康之
講談社 / 2017-05-17
この本について
仕事でも自分のキャリアでも、「気づいたら大きな流れに取り残されていた」という感覚ってありますよね。自分の判断が本当に合っているのか、そもそも何を見て決めればいいのか分からなくなる時があります。僕自身、目の前の業務に追われて視野が狭くなりがちで、そのたびに立ち止まるきっかけとして読んだのが『東芝解体』でした。 この本が効くのは、単に「日本企業が苦境に陥った理由」を並べているからではなく、意思決定がどうズレていくのかを、具体的な場面の積み重ねで見せてくれるところです。国内で大艦巨砲主義のような投資競争を続けていた現場の空気、会議のための会議に偏っていく組織、どこかで「このままではまずい」と分かっていながら方向転換できない空気。こういう描写を追っていると、他人事ではなく、自分の働き方の癖まで見えてきます。 同時に、企業がなぜ変われなかったのかを構造で捉え直してくれるのも大きかったです。電力・通信という巨大な「上部構造」に支えられた産業だからこその甘え、絶対に負けられない本業が不明確なまま多角化していく危うさ、そして決定的なタイミングで“偏執狂的”な集中力を持てなかった理由。目の前の判断の迷いが、実はこうした構造とつながっているんだと腑に落ちました。 仕事の方向性にモヤモヤしている人、組織の中で意思決定がどう歪むのか知りたい人には、静かに刺さる本だと思います。僕にとっても、自分が何に目をつぶりがちなのかを振り返る材料になりました。
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