
衰退の法則―日本企業を蝕むサイレントキラーの正体
小城 武彦
東洋経済新報社 / 2017-05-26
この本について
仕事をしていると、「内容より発案者で判断される感じがする」「正しいことを言っても空気が止まる」といった、説明しづらいモヤモヤにぶつかることがあります。自分の考えが間違っているわけじゃないのに、社内の力学のほうが強いというか、どこか理屈が通らない感じが続くあの違和感です。僕自身も長いこと、なぜこうなるのか言語化できずにいました。 『衰退の法則』は、その“理由は分からないのに腹の底で感じていた現象”に輪郭を与えてくれる本でした。印象的だったのは、衰退企業の人たちが必ずしも怠慢ではなく、むしろ「組織で生き残る」という合理性に沿って行動した結果、会社全体がゆっくり弱っていく構造が生まれてしまうという指摘です。内容ではなく誰が言ったかで判断される空気や、議論が舞台裏でしか進まない風土は、個々の悪意ではなく仕組みの問題だと分かると、見える景色が変わります。また、平時には静かで、有事になると一気に牙をむく「サイレントキラー」という概念が、何となく感じていた組織の変調とぴったり重なりました。 この本は、組織の愚かさを笑うための本ではなく、自分の職場や自分自身も同じサイクルの中にいるかもしれないと静かに気づかせてくれます。特に、「社内調和を優先しがちな文化的な癖をどう補正できるか」という視点は、現場にいる人ほど腹落ちするはずです。組織の空気に疲れた人、そして「おかしいと思いながらも言語化できなかった人」に刺さる本だと思います。
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