
岳飛伝 十七 星斗の章 (集英社文庫)
北方謙三
集英社 / 2018-03-25
累計読者数3
平均ハイライト数 16.3件/人
推定読了時間 約4時間55分
star総合評価 58/100
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この本について
仕事でも人生でも、「自分が何に縛られて動けなくなっているのか分からない」という時期ってありますよね。正しさとか責任とか、背負っているものが大きいほど、いま立っている場所の意味までぼやけてくる感じがあります。最近、このモヤモヤに付き合ってくれる本として『岳飛伝 十七』を読み返しました。 この巻の抜粋には、国や立場という“外側の理由”から解き放たれていく人物と、逆にそこから逃れられずに足を取られる人物が、淡々と、でも痛いほど描かれています。たとえば「国は雪が解けるように意味を失う」という胡土児の言葉は、自分の拠りどころが壊れた瞬間の空白を思い出させるし、岳飛と秦檜の会話には、正しさを求め続けた人間が最後に見つける“重さ”がそのまま置かれています。どちらも派手な教訓はなくて、ただ、自分も同じように揺れているだけなんだと落ち着かせてくれるんです。 そして、この物語は強さよりも、「弱さを抱えたまま前に進む姿」を何度も見せてきます。いま死ねるか? と問われて言葉に詰まる兵士や、別れの場面で言葉が出ない隊長の姿は、覚悟という言葉の外側にある“現実の揺れ”を丁寧に拾っています。読む側としては、自分の迷いを否定されないまま少し視点だけが変わる、そんな読後感が残ります。 組織の中で役割を演じ続けて疲れた人、正しさを考えすぎて身動きがとれなくなっている人に、とくに沁みる巻だと思います。
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出版社による紹介
梁山泊軍と金軍の果てしなく続く消耗戦。その最中、戦場に切り込んできた史進は兀朮にとどめを刺すも、深手を負い戦線を離脱。岳飛は南宋・程雲の首を獲り、臨安府に入る。一足先に呼延凌と合流した秦容は、金の沙歇との最終決戦に挑む――。激動の中華の地で、国とは何かを問い、民を救うために崇高な志を掲げ、命を賭した漢たちの生き様を余すところなく描き切った中国歴史巨編、遂に完結!
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