
読書の極意と掟 (講談社文庫)
筒井康隆
講談社 / 2018-07-13
この本について
最近、本を読んでいて「面白いんだけど、どこを味わえばいいのか分からない」「何を基準に“良さ”を感じ取ればいいのか迷う」という相談をよく受けます。ジャンルも作風も違う本を前にすると、自分の読み方が正しいのか不安になる気持ち、すごく分かります。僕自身、長く読んできたつもりでも、いまだに迷子みたいになる瞬間があります。 そんなときに思い出すのが、筒井康隆さんの『読書の極意と掟』でした。抜粋を読むと分かる通り、この本は「正しい読み方」を教えてくれる類のものではありません。むしろ、筒井さん自身が影響を受けた作品、勝手に思い込んでいた読み方、幼少期の記憶、作家としてのコンプレックスや勘違いまで、全部まとめて“読書人生そのもの”を差し出してくれているような一冊です。そのぶん、読み手のほうに自由度が残されていて、自分の迷いをそのまま持ち込めます。 特に刺さったのは三つあって、ひとつは「非現実的な話ほどリアルな描写が必要」という気づき。作品世界にのめり込めない時、何が足りてないのか判断する目安になります。もうひとつは、星新一の影響で“ショートショートには必ずオチがあるものだ”と信じ込んでいたと正直に語る部分。読者も似た思い込みを持っていることが多く、読みづらさの正体が「自分の中のルール」だったと気づかされます。そして最後に、没落した家に育った経験とマン『ブッデンブロオク一家』を重ねるくだり。読書って結局、人生と地続きの体験なんだとあらためて思わされます。 作法よりも「自分の読書をどう育てるか」を考えたい人に向いています。僕と同じように、本と付き合う軸を探している人には、静かに効いてくる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの31%が集中しています。
読書の順序
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