
みみずくは黄昏に飛びたつ―川上未映子 訊く/村上春樹 語る―(新潮文庫)
川上未映子 and 村上春樹
この本について
仕事でも創作でも、年齢を重ねるほど「自分の感覚が社会と少しずつずれていく」瞬間ってありますよね。若い頃みたいに外に文句をぶつけるわけでもなく、かといって社会に完全に馴染めるわけでもない。そのあいだで立ち止まったとき、自分はどこに立っているのか、何を拠りどころにすればいいのかがわからなくなることがあります。 この本は、村上春樹という“完成してしまった作家”の強さを語る本ではなくて、川上未映子が問い続けることで浮かび上がる「作家がどうやって世界との距離を決めてきたのか」という過程そのものが読めます。デタッチメントを選ぶことの能動性とか、文体だけが物語を導けるという話とか、時間が善い物語と悪い物語を分けるという感覚とか、どれも“社会と自分をどう重ねるか迷いながら書く”という姿勢に紐づいていて、自分の生活にそのまま引き寄せやすいんです。 読んでいると、表現者だけの話じゃないとわかってきます。自分が持っているストラクチャーは、読んできたものや経験してきたことの積み重ねでできていて、無理にひねり出すものではないという安心感もあるし、逆に「じゃあ自分は何を読み、どう受け取ってきたんだろう」と静かに点検したくなる。日常の判断や他人との距離感にも効いてくるタイプの本です。 自分の立ち位置にうっすら迷っている人、あるいは創作していなくても「文体って結局なんだろう」と気になったことのある人には、とても刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの35%が集中しています。
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