
文化系のための野球入門~「野球部はクソ」を解剖する~ (光文社新書)
中野 慧
この本について
部活の空気や体育会系ノリに、どこかうまく馴染めなかったり、「あれって本当に意味あったのかな」と今になって引っかかることってありますよね。自分もずっとそのモヤモヤを放置したまま大人になりましたが、この本を読むと、その違和感にようやく言葉をあててもらえた感覚がありました。 面白いのは、野球をまったく神聖視せず、「声出しの機能がそもそも不明」「文化系的な価値観の人が昔からちゃんといた」といった視点が、歴史の描写を通して淡々と示されるところです。体育会系文化が“当たり前”になる前の空気を知ると、いまの部活動や職場のルールがどれだけ偶然の積み重ねでできているかが見えてきます。そして、文化系と体育会系が対立する構図自体も、実は時代によって形を変えてきたものだとわかると、無理にどちらかに寄せなくてもいいんだと少し気が楽になります。 もう一つ刺さったのは、「野球=上意下達」というイメージが戦前からの伝統ではなく、むしろ戦後に固まった文化だという指摘です。自分が学生時代に感じていた“変な理不尽”が、個々の指導者の性格ではなく、歴史的な流れのなかに位置づけられると、距離の取り方も変わってきます。 体育会系の空気にうまくハマれなかった人、あるいは部活や組織の文化にずっと正体不明の居心地の悪さを抱えてきた人には、かなりしっくりくるはずです。抜け道を示すというより、「そもそもその違和感はあなた一人のものじゃない」と静かに教えてくれる本でした。
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