
無気力なのにはワケがある 心理学が導く克服のヒント (NHK出版新書)
大芦 治
NHK出版 / 2013-09-10
この本について
最近、やる気が落ちる理由が自分でもよくわからないまま、気づけば一日が終わっていることが増えました。頑張りたい気持ちはあるのに、どこか「どうせ無理だろう」と思ってしまうあの感覚。自分でも説明できない無気力さって、けっこうしんどいですよね。 この本を読んで印象的だったのは、無気力の正体が「性格」や「根性」ではなく、“コントロールできていると思えるかどうか”に強く左右されるという点でした。自分の力では状況を動かせないと思った瞬間、人は一気に気持ちが萎えてしまう。逆に、ほんの小さなことであっても「自分で選んで動いた」という実感が積み上がると、だんだん気力が戻ってくる。その仕組みが心理学の実験や具体的なケースで丁寧に説明されていて、腑に落ちる場面が多かったです。 もうひとつ救いだったのは、能力を「固定的」に捉えるか、「変わるもの」と捉えるかで、無力感の落ちやすさがかなり違うという話。大人になってからでも、ものの見方を少しずつ可変的な方向に寄せていくことで、無気力に沈みにくい性質は育てられるという視点です。完璧に楽観的になれなくても、失敗の原因を努力や条件といった変えられる部分に置き直すだけで、次の一歩が出やすくなる。このあたりは実生活にすぐ持ち込めました。 過去の反抗期の話や、ちょっとしたストレスを自分で切り抜けた経験が後の自信になるという話も、無理に自分を奮い立たせるより、日々の小さな選択を丁寧に扱うほうが効くのだと気づかせてくれます。 自分の無気力の理由を「怠け」とか「性格」で片づけたくない人に、とても静かに刺さる本だと思います。
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