
老人喰い ――高齢者を狙う詐欺の正体 (ちくま新書)
鈴木大介
この本について
最近、「なんでこんなに詐欺のニュースが多いんだろう」とか、「高齢者が狙われる構造って、本当はどうなってるんだろう」と、ぼんやり気になっている人は多いと思います。僕もどこかで他人事にしていたんですが、この本を読んだとき、思っていたよりずっと “社会の内部” の話なんだと突きつけられました。 『老人喰い』が効くのは、加害者と被害者を単純に分けないところです。抜粋にもある通り、まず若者側の「経済弱者としての反逆」という見方が出てきて、最初から意表を突かれます。詐欺組織に居場所を感じてしまう若者の姿は、正しいかどうかとは別に、「もし自分が彼らの立場だったら」と考えずにいられません。そしてもう一つ、被害者側の高齢者についても、独居や相談相手の不在といった “具体的な生活事情” がどう脆さにつながるのかが、とても丁寧に描かれています。どちらも社会の歪みの延長線にいて、だからこそ犯人探しだけでは話が終わらない。 読み終えると、「老人喰いはなくならない」という著者の言葉が少し冷たく響きます。でも、その冷たさのおかげで、自分の生活圏と地続きの問題として考えられるようになりました。誰かを一方的に責めるよりも、背景を知ることで見える選択肢がある。そういう意味で、この本は“距離を詰めてくるノンフィクション”だと思います。 刺さるのは、「社会問題を感情論ではなく、現場の細部で理解したい人」。僕自身、読みながら何度も立ち止まって、自分の中の思い込みをほぐす作業をしていました。
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ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの29%が集中しています。
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