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岳飛伝 十 天雷の章 (集英社文庫)

岳飛伝 十 天雷の章 (集英社文庫)

北方謙三

集英社 / 2017-08-27

累計読者数4
平均ハイライト数 13.5件/人
推定読了時間 約4時間49分
star総合評価 58/100
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この本について

最近、仕事でも生活でも「正しさより、目の前の人の営みをどう守るか」を考える場面が増えました。立派な理念を振りかざすほど、かえって足元の実感から離れていくような感覚があって、そこに小さなモヤモヤが残るんですよね。岳飛伝の十巻を読んでいて、そのモヤモヤに少し風が通ったように感じました。 この巻で何度も語られるのは、民の営みという、ごく普通の生活の重さです。喜びと同じ量だけ悲しみがあり、静かに続いていく暮らしを守るために、人はどこまで動けるのか。壮大な志よりも、まずは隣にいる誰かの穏やかな一日を守ること。その視点に立つと、登場人物たちの判断が急に現実味を帯びてきます。物流の道を語る場面も象徴的で、派手な戦より、生活をつなぐ“道”こそが人を支えるという考えに、妙に納得してしまいました。 もうひとつ刺さったのは、「無駄や隙のない生き方」に対する揺らぎです。効率ばかり求めていると、いつの間にか大事な判断を狭めてしまう。大きな商いには余白がある、と登場人物が気づく場面は、自分の働き方にもそのまま置き換えられる感じがしました。 理想や志を持つことを否定しないけれど、それを民に押しつけることの空虚さにも触れていて、「結局どう生きたいか」を静かに問い返してくれる本です。肩に力が入りやすい人、自分の正しさに迷い始めた人には、とても深く響くと思います。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

梁山泊が南宋と金、それぞれと戦争状態に入った。呼延凌と兀朮が一進一退の攻防をしている最中、丞相・撻懶が病死した。金国内の混乱に乗じ、轟交賈の蕭けん材が監禁されるも、梁山泊の致死軍が救出した。水上では梁山泊の狄成らが、南宋の造船所を奇襲し、すべて焼失させた。一方、南では南宋の辛晃の動きを警戒する岳飛と秦容が互いに手を組むことを決める――。譎詐百端、風雲急を告げる第十巻。
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