
「戦前」の正体 愛国と神話の日本近現代史 (講談社現代新書)
辻田真佐憲
講談社 / 2023-05-18
累計読者数18
平均ハイライト数 35.8件/人
推定読了時間 約4時間17分
star総合評価 67/100
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この本について
歴史を学んでいると、「この国の物語ってどこまでが作られたものなんだろう」と立ち止まる瞬間がありませんか。僕もずっとそうで、特に神話や天皇制まわりの話になると、学校で習った枠ではどうにも腑に落ちないことが多かったんです。 この本は、そのモヤモヤにかなり丁寧に付き合ってくれます。たとえば、神武天皇が実は幕末までほとんど顧みられていなかったとか、アマテラスの地位が近代になって強化された存在だとか、知識としては知っていても「なぜそうなったのか」をここまで実務的に説明してくれる本はあまりありません。明治の政治家たちが神話を“便利な素材”として使い、時代に合わせて意味づけを変えていった様子が、抽象論ではなく具体的なシーンの連続で描かれます。 読んでいて気づくのは、「物語がいつのまにか現実を縛りはじめる瞬間ってこういうことか」という点です。三種の神器を守るために講和を急ぐ昭和天皇の言葉や、軍歌が企業・政府・大衆の利害で膨張していく流れなど、教科書では均されてしまう部分が立体的に見えてきます。 自分の足元を一度ほどいて見直したい人に向いている本です。神話や“伝統”という言葉に、なんとなく距離を感じている人ほど刺さると思います。
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出版社による紹介
神武天皇、教育勅語、万世一系、八紘一宇……。 右派も左派も誤解している「戦前日本」の本当の姿とは? 神話に支えられた「大日本帝国」の真実。 「国威発揚」の物語を検証するーー! 「筆者はここで、同じく昨年、凶弾に斃れた安倍元首相が唱えた「日本を取り戻す」「美しい国」というスローガンを思い出さずにはおれない。それはときに戦前回帰的だといわれた。 だが、本当にそうだっただろうか。靖国神社に参拝しながら、東京五輪、大阪万博を招聘し、「三丁目の夕日」を理想として語るーー。そこで取り戻すべきだとされた「美しい国」とは、戦前そのものではなく、都合のよさそうな部分を適当に寄せ集めた、戦前・戦 後の奇妙なキメラではなかったか。 今日よく言われる戦前もこれとよく似ている。その実態は、しばしば左派が政権を批判 するために日本の暗黒部分をことさらにかき集めて煮詰めたものだった。 つまり「美しい国」と「戦前」は、ともに実際の戦前とはかけ離れた虚像であり、現在の右派・左派にとって使い勝手のいい願望の産物だったのである。(中略) このような状態を脱するためには、だれかれ問わず、戦前をまずしっかり知らなければならない。」 (「はじめに」より) 【本書の構成】 第1章 古代日本を取り戻す 明治維新と神武天皇リバイバル 第2章 特別な国であるべし 憲法と道徳は天照大神より 第3章 三韓征伐を再現せよ 神裔たちの日清・日露戦争 第4章 天皇は万国の大君である 天地開闢から世界征服へ 第5章 米英を撃ちてし止まむ 八紘一宇と大東亜戦争 第6章 教養としての戦前 新しい国民的物語のために 【本書の主な内容】 ・「新しい戦前」と「美しい国」の共通点 ・「神武創業」に新政府がこだわった意図 ・「建国記念の日」が生まれた背景 ・君が代はなぜ普及したのか? ・明治維新は「中世キャンセル史観」 ・神武天皇に似ている「あの人物」 ・フェティシズムとしての教育勅語 ・女子天皇・女系天皇を排した井上毅 ・忘れられる神功皇后と理想の女性像 ・神社参拝は軍国主義的なのか? ・「東京」の名付け親・佐藤信淵 ・天地開闢とイザナミ・イザナギ神話 ・「弱小国家コンプレックス」が生んだ妄想 ・戦意高揚に貢献した北原白秋と山田耕筰 ・実証なき物語は妄想、物語なき実証は空虚 ……ほか
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