
覇王の家(下)(新潮文庫)
司馬 遼太郎
新潮社 / 2002-04-20
この本について
仕事でも私生活でも、人の意見をどう扱うかでモヤモヤする瞬間ってありますよね。言うべきことを言う勇気もほしいし、逆に自分が上の立場に立つと「どこまで任せて、どこまで口を出すべきか」がよく分からなくなる。正論を言えばいいわけでもないし、慎重すぎると臆病に見える。そのあたりの“さじ加減”で悩んでいる人は多いと思います。 『覇王の家(下)』を読んでいて、読者が何度も保存していたのは、家康の「愚論でも最後まで聴く」「家臣を疑わない」「素知らぬ体で任せ切る」といった姿勢でした。派手さはないのに、組織の空気のつくり方としては異常に実践的です。上から怒鳴られる職場で正論が消えるのは珍しくないですが、この本を読むと、なぜ家康があえて沈黙を選び、耳を傾け、家臣の発言の芽をつぶさなかったのかが生々しく見えてきます。自分の言葉を強めるより、相手の言葉を生かすほうが組織が回る、という視点の転換が起こります。 また、臆病さがもっとも危ない、という一文に救われる人も多いはずです。強く振る舞えと言いたいわけではなく、恐れからの行動が周囲に余計な混乱を生むことがある。その仕組みが戦場の具体的な描写を通して理解できるので、自分の仕事場に置き換えやすいんです。 結局のところ、この本は「権限を持つ側の沈黙の重さ」や「場を整える側の聞く姿勢」を学びたい人にじわっと効いてきます。上に立つことに疲れている人、リーダーを任されて戸惑っている人には、静かに刺さる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの35%が集中しています。
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