
戦後経済史―私たちはどこで間違えたのか
野口 悠紀雄
この本について
最近、ニュースを見ていても「なんで日本だけうまくいかない感じが続くんだろう」と、うまく説明できないままモヤモヤが溜まっていくことがあります。円安の話を聞いても、本当にそれで何かが良くなるのか自信が持てないし、産業の衰退も「時代の流れ」という一言で片づけられると、その裏で何が起きていたのか気になってしまう。僕自身、そんな違和感を放置したまま仕事をしていて、どうにも視界がクリアにならない時期がありました。 野口悠紀雄『戦後経済史―私たちはどこで間違えたのか』は、そのモヤモヤに正面から向き合うきっかけになった本です。読んでいて印象的なのは、日本経済の分岐点が「思っていたよりずっと早い段階」に潜んでいたという指摘でした。たとえば、戦後すぐの傾斜生産方式やシャウプ勧告のような制度設計の背景、あるいは介入型の体制が当時の技術環境には合っていたのに、80年代以降も惰性で続いてしまったこと。さらに、円安という“その場しのぎ”が長期的な構造変化への目を鈍らせてきたこと。どれも、今日の政策や企業判断の行き詰まりを理解するうえで、一本筋が通る感覚がありました。 読んでいると、「今の問題は、今だけを見ていても解けない」という当たり前の事実が、すーっと腹に落ちてきます。制度が時代と噛み合わなくなった瞬間や、海外が先に構造を転換していた場面が具体的に描かれていて、自分の仕事に置き換えると“どこで判断を誤りやすいのか”がはっきり見えてくるんですよね。 歴史の細部を知りたい人よりも、「日本の停滞って結局どこでつまずいたの?」と感じている人にこそ刺さる一冊だと思います。今の閉塞感を整理したい時に、静かに効いてくる本でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの31%が集中しています。
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