
どうしても頑張れない人たち―ケーキの切れない非行少年たち2―(新潮新書)
宮口幸治
この本について
最近、「頑張れない人にどう接したらいいんだろう」と悩む場面が前より増えた気がします。口では励ましているつもりでも、相手の足を止めてしまったり、逆に突き放してしまったり。自分の経験でも、何が正解なのか分からないまま関わってしまって後からモヤモヤすることがよくあります。 この本は、その曖昧なモヤモヤに輪郭を与えてくれる一冊でした。印象的だったのは、頑張れない背景にある「見通しの弱さ」や「不安の大きさ」を丁寧に説明してくれるところです。頑張るためには“意思”や“能力”だけでなく、まず“安心の土台”が必要で、そこからようやく動機づけが生まれるという視点は、自分が人と接するときにもすぐ使える感覚でした。また、安易に褒めたり励ましたりすると逆効果になるケースがある、という指摘もかなり刺さりました。相手の状況を知らないままかける言葉が、励ましではなく「見捨てられるかもしれない不安」を刺激することがある。これは日常の小さなコミュニケーションでも起こり得ることだと思います。 読んでいて感じたのは、頑張れない人に必要なのは「正しい言葉」よりも、「逃げないでそばにい続ける大人」なのだということです。失敗したり試すような行動をされたりしても、そこで離れない姿勢が相手の回復の土台になる。理想論ではなく、現場で積み重ねてきた実感として語られているので、妙に腑に落ちます。 子どもや後輩、部下との関わり方に不安がある人、自分の声かけがときどき空回りしている気がする人には、静かに効いてくると思います。
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