
ESG思考 激変資本主義1990-2020、経営者も投資家もここまで変わった (講談社+α新書)
夫馬賢治
この本について
仕事で長期計画を立てるとき、「結局どこを見ればいいのか」がよくわからなくなる瞬間がありませんか。自社の状況や短期の数字に引っ張られて、外の変化を考える余裕がなくなる。かといって、環境や社会課題の話になると急に“きれいごと”っぽく感じて、実務に落ちないまま終わってしまう。僕自身ずっとこの壁にぶつかっていました。 この本が面白いのは、環境・社会を考慮することを理想論として扱わず、「放置したときに企業側にどんな損が返ってくるのか」を具体的に描いているところです。気候変動で自然災害が増える、人権軽視で採用力が落ちる、水資源が枯れれば事業がそもそも成立しない。こういう“長期の当たり前”を先に見に行くと、短期の数字だけ追っていても手遅れになる理由が自然と腑に落ちます。また、投資家側もリーマン・ショック以降は長期指標を重視し、役員報酬さえそこに連動させている。その流れを知ると、企業が長期軸を持つことはもう「選ぶかどうか」ではなく、「生き残れるかどうか」なんだなと感じます。 さらに、ESGを“社会貢献”ではなく“事業機会”として扱う視点も実務で効きます。ダボス会議の12兆ドルの話もそうですが、潜在リスクを直視することで新しい市場が見えてくるという発想は、日々の企画や経営会議の議論の軸を変えてくれます。社内事情はいったん横に置き、外的変化から逆算する。その割り切りの根拠が、この本には丁寧に積み上がっています。 「短期数字と長期視点の間でずっと迷っている人」に静かに効いてくる一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第3章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの15%が集中しています。
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