
グラスホッパー (角川文庫)
伊坂 幸太郎
KADOKAWA / 2009
この本について
生きているだけで、いつの間にか「まあ大丈夫だろう」と思い込んでしまう瞬間、ありませんか。忙しいと特にそうで、危機感も不安もどこか遠くに置きっぱなし。でも後から振り返ると、あのときの自分の無自覚さにヒヤッとしたりもする。僕もよくあります。 『グラスホッパー』の抜粋を見ていると、読者の方はまさにその「思い込みの怖さ」や「人間の弱さ」に刺さっているように感じました。伊坂幸太郎の作品ってユーモアやリズムがあるのに、ふとした一文で急に現実の鋭さを突いてくるんですよね。例えば「世の中の不幸の大半は、誰かが高をくくっていたことが原因」という言葉は、フィクションのはずなのに日常の判断ミスや思考停止にそのまま重なるし、「人は自分を一番うまく欺ける」という感覚も、妙にリアルです。読んでいると、自分の日常の“ほころび”にライトを当てられるような感覚があります。 この本が面白いのは、説教でも哲学でもなく、登場人物たちの行動の中で人間の本性が自然と浮かび上がるところです。危険を過小評価して動く人、正義を信じたい人、死んでるみたいに生きるのをやめたい人。それぞれの言葉が、「自分もこういうところあるな」と静かに刺さってくる。読み終わる頃には、世界が急に優しくなるわけではないけれど、自分の思い込みや心の癖を少しだけ扱いやすくなる感じがあります。 こんな人に刺さると思います。 “現実はそんなに甘くないと分かりつつ、それでも自分の足で立ちたい人”。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの16%が集中しています。
読書の順序
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